音が聞こえてきそうな絵本特集
長い冬が終わり、もうすぐ動物や植物たちが目を覚ます春の季節がやってきます。もしかすると、耳をすませば動物のあくびや植物の芽を出す音が聞こえてくるかもしれません。
小説を読んでいると光景を思い浮かべることがありますが、同じように絵本を読んでいると音が聞こえてくることがあります。もちろん人によって、いろんな音が聞こえてくると思います。そこで今回は耳をすませば音が聞こえてきそうな絵本を特集しました。
さて、みなさんはどんな音が聞こえてくるでしょうか?
おすすめランキングベスト3
1位『なつの いちにち』
音だけでなく、夏の蒸し暑さも感じる絵本
表紙を開き、カバーの折り返しにもこう書いてあります。
「この えほんのなかに あなたの なつのおとは きこえますか」
この絵本は、古き良き日本の風景が広がる村(?)で、男の子がクワガタ取りに出かける一日を描いています。
色鮮やかな画面・迫力ある構図・臨場感のある絵と言葉で、夏の雰囲気がとてもよく伝わってきます。特に、男の子が汗をかいているイラストを見ると、読んでいるこちらも暑さを感じます。また、生き生きと元気に走ったり、動きまわる男の子がとってもイイ!のです。
ところで、はたして今の日本でこんな素敵な夏を過ごせる子供はどれくらいいるのだろうか、とふと思いました。その意味でも、大人にとっては懐かしいような、子供にとってはうらやましいような気分になる人が多い気がします。
いろいろな夏を過ごした子供ほど、いろいろな音が聞こえてきそうです。
2位『ピンク!パール!』
がんばれ~!と応援したくなる
構図が本当に素敵なんです。
桜の季節、サケが生まれた川へと帰る話なんですが、横長な画面をすごく巧みに使って川の中の世界が表現されています。 読んでいると水しぶきの音、水中の音、そして最後の10ページは全く言葉がないのですが、ザァ~ッという水音が聞こえてきます。桜が舞い散る中、滝を登るようにして主人公のピンク・奥さんのパールが巨大なダム川を登っていくのですが、思わず「ピンク!パール!頑張って!」と応援したくなりました。
ちなみにこの本は、“ピンクのヤマメ三部作”の完結編で、ほかに『ピンクぺっこん』・『ピンクとスノーじいさん』があります。
3位『子うさぎ ましろの お話』
ベルの音が鳴り響く
クリスマスにおすすめな絵本です。
絵は一見誰にでも描けそうなのですが、線の色など個性的で真似するのは難しそう。何より主人公のうさぎ・“ましろ”がかわいい!性格もとても愛らしいのです。
ウソをついてサンタクロースからプレゼント(サンドイッチ・種)をもらってバチがあたってしまったとき、“ましろ”は、「サンドイッチはもうおなかのなかに入ってしまって返すことはできないけれど、種は土に埋めて神様にお返ししよう」と考えます。“おなかの中に入ってしまって返すことはできない”なんて、かわいいなぁと思いました。
埋めた種はすくすく成長し、モミの木となります。このモミの木、クリスマスが近づくと さまざまなプレゼントの実をつけ、ベルが鳴り響きます。その場面は黒地に白文字で描かれていて、静寂の中できれいな音が響いているように聞こえるのです。ぜひ、読んでみてください!
ピックアップ絵本
ピックアップ(1)『よあけ』
静かな音を聞く
夜明け前の静けさ。この絵本はその夜明けの瞬間が見事に描かれています。
夜明けの出来事が一つ一つ、淡々と、短い言葉で語られています。
こうもりが音もなく飛び立つ。カエルが池にぽちゃんと飛び込む。そよ風が吹き、さざなみが立つ…。読んでいると、朝の肌寒さまで感じます。
最初は青暗く、だんだんとページをめくるごとに白みがかっていきます。最後のページは色鮮やかな緑と黄色と水色で、それまでのページが薄暗いので、いっそう引き立っているように思います。
また、雪の日の静けさを感じたい方は、『ゆきがやんだら』(作:酒井駒子さん)もどうぞ。
ピックアップ(2)『世界で いちばん やかましい音』

『世界で いちばん やかましい音』
作:ベンジャミン・エルキン 訳:松岡享子
絵:太田大八
出版社:こぐま社(1999)/本体価格:\1,100
ページ数:34P
大きさ:17.4cm×17.4cm×0.8cm
やかましい音、だ~いすき?!
世界で一番やかましい町、“ガヤガヤ”。何をするにも やかましくすることが町の人たちの自慢。(なんて町…!)
その中でもやかましい音が大好きなギャオギャオ王子。王様は王子様の誕生日に、世界で一番やかましい音をプレゼントすることにしました。それは、“世界中の人が同時に叫ぶ”音。世界中の人々もこの考えが面白いと協力することになりました。
さて誕生日当日、実際に王子様が聞いた音とは…?
ちなみに、私にとってこの本の中のザ・ベスト・オブ・ウルサイは、「ドラム缶とブリキのバケツを高く積み上げて、くずす」場面(P8)です。
ピックアップ(3)『だんまり こおろぎ』
音つき絵本
トンボ・ハチ・セミ・あわふきむし・蛾…。いろんな昆虫が「だんまりこおろぎ」に出てきます。 どれも色とりどりで、ため息が出てしまうほど。エリック・カールさんに昆虫図鑑を作ってほしい! この絵本を読んでそう思いました。
ストーリーは、生まれたばかりのこおろぎぼうやが色々な昆虫に出会い、挨拶をしていきます。でも、こおろぎぼうやは “こし こし こし” と、羽をすり合わせるけど、うまく鳴くことが出来ません。出会う虫たちはステキな鳴き声を聴かれてくれるのに。
でも最後のページをめくると…。きれいなこおろぎぼうやの鳴き声が聞こえるのです。
さて、こおろぎぼうやはどうして鳴くことができたのでしょうか?




